シルバーパソコン体験教室
大学周辺に住む60歳以上の一般市民を対象に「シルバーパソコン体験教室」を開いている。パソコンに触れるのは、これが始めてという方がばかりである。まずスイッチの入れ方から指導する。40名ほどの受講生を前に、専門のインストラクターが、「こうやって。その次にはこうやって」と指導してゆくのだが、どうしても個人差が大きくなる。ちょっともモタモタしていうるうちに、説明の方が先に進んでしまい、全く分からなくなってしまう。そこで、協力を求めたのが、ボランティア学生諸君。1年前、2年前、この大学に入学してきた時は、パソコンのパのの字さえ知らなかった学生達が、一人で受講生2人を受け持ち、手を取り、足をとって、細かい部分を教えてくれる。インストラクターの指導も大切だが、身近にいて、具体的に「ここをこう押して」と教えてくれる人が、どうしても必要なのだ。後日この企画は「孫娘に教わるパソコン教室」という記事となって新聞に写真入り紹介された。
このシルバーパソコン体験教室のモデルは、アメリカにある。アメリカでは、コンピュータの普及で、生活が便利になった反面、「コンピュータ難民」が大量に発生し、それが「社会問題」となった。その時、大学は最先端の技術の開発を追うだけでよいのか、そういう最先端技術が、人人の間に分裂を作ってしまったら、意味がないではないか、という反省が生まれた。やがて各地で、大学生達がまだ習いたてのパソコン・スキルを使って、コンピュータ革命について行けない人々のためにボランティア活動を始めた。大学と地域社会との結びつきを示す例といえる。
われわれの講習会でも、この講習会に参加して一番勉強になったのは、シルバー受講生ではなく、アシスタント学生自身だったようだ。「他人に教えてみて、はじめて自分のどこが分かっていないのか、よく分かった」、「これだけのことを教えて、他人に感謝されるなんて。もっともっと勉強しねければならないと思った」その波紋はさまざま広がった。世間ではボランティア学習が盛んに推奨されているが、何か他人に役に立つスキルをベースとしたボランティア活動でない限り、しょせん長続きしないのではなかうろうか。気になるところである。